犬橇 2

2006年 アイディタロッド犬橇レース 

 

ADNより

1 3月4日

アラスカに春が来たと感じるのは、アイディタロッド犬橇レースが始まるときだ。

三月の第一土曜午前十時、アンカレッジの4thストリート、日差しは強くなってきているものの、風は冷たく、雪はまだまだ解けそうにない。

80人余りののマッシャーたちと1200頭の犬たちのスタート地点なので、ダウンタウンは交通規制される。

また、1112マイル(1650キロ)のレースの始まりを見るために世界中から人が集まり、ホットドッグなどの出店が出て、春のお祭りとなる。

二年前まで犬橇レースに大きな興味はなかったが、

友達の犬橇に乗せてもらったのがきっかけで、その面白さと深さ、たいへんさを垣間見ることができた。

それ以来、たいへんなこともあるが、アラスカがますます好きになっている。

今日3月4日、アイディタロッド犬橇レースが始まるのだが、レースが終わるまで、毎日レースについて書かせていただこうと思う。

アラスカの春を皆さんと共有できたら嬉しい。

 

2 1925年 ノーム

 

アイディタロッド犬橇レースが始まったのは、1973年だが、それより50年前の歴史的な犬橇リレーを踏まえたものだ。

アイディタロッドの終着点で、海岸沿いに位置する町ノームは、1920年代にはゴールドラッシュで賑わう4000人の住む町だった。

その当時のアラスカで4000人といったらとても大きな町だったと思う。

写真が残っているが、テント村ではなくて、家々が立ち並び立派な体裁を保っている。                           1906年 ノームの町        

その町に1925年1月ジフテリアがはやり始めたのだ。

学校は閉鎖され人々は外出を禁止されたのだが、 陸の孤島で血清などなく、住民の全滅が危惧された。

すぐに 無線 で血清求むと報じられたのだが、厳冬のこととて飛行機の便はなかった。もちろん海は凍り、船の便はない。

血清を持っている一番近い病院はアンカレッジで、アンカレッジからアラスカ鉄道でネナナまで運び、

そこから犬橇リレーで674マイル(1011キロ)走り、ノームに運ぶという計画が立てられた。

それは、ネナナからノームまでは郵便を運ぶ犬橇の道があったからだ。

また、その道に沿ってロードハウス(休憩できる小屋)も出来ていた。

血清を凍らせることは出来ないので、兎の毛皮でくるむと、それは10キロ以上の積み荷になったという。

ネナナから一番始めに積み荷を預かったのはアサバスカン族のネイティブアメリカン(インディアン)だ。

毛衣にくるまれた血清は、人から人へ犬から犬へ受け継がれて行ったわけだが、それは皆記録に残っている。

アサバスカン族、エスキモー族、またはロシア系移民、ノルウエー系移民、アイルランド系移民など、20人だったという。

マッシャーたちが受け持ったマイル数は18マイルから261マイルと様々だが、

ユーコンを渡るときは霧で三寸先も見えない状況だったり、気温はマイナス40度から50度へと下がったりと、

その辛苦は単に距離の長さだけでは測れないと思う。

 

急ぎの旅なのだが、 厳寒期なので 犬たちを急かせる訳にはいかなかった。

スピードが速すぎると、犬たちの肺が凍傷にかかるかもしれなかったからだ。

もうこうなると、わたしにはその寒さを想像することができない。実際に二頭が肺の凍傷が原因で命を落としている。

凍傷を含む怪我人も出たものの、6日以内にジフレリアの血清はノームに届き、住人たちは一命を取りとめた。

そして犬橇リレーは、街の全滅を防いだ歴史的な偉業となった。

マッシャーたちにはアラスカ知事よりメダルが贈られ、その歴史的な勇気ある決死の行動に、アメリカ中から賛辞が集まった。

そしてそれぞれが$30くらいの謝礼を受け取ったと言う。

今の貨幣価値に換えてみると、$400くらいになり、またそれがどのくらいの価値があるのか調べてみたが、よくわからなかった。

例えば当時の、小麦粉一袋やバーでのワンショットの値段とかがわかれば比較になったのにと思う。

でもいずれにしても、命を賭けるだけのお金ではないことがわかる。

 

 

その後、最長距離を走ったマッシャ―、Leonhard Seppla と、リードドッグのTago が全米をツアーし、

またハリウッドの映画に取り上げられることになり、

アイディタロッドの勇気ある決死の犬ぞりリレーは、アメリカ人の記憶の中に住むことになったのだ。

Leonhard Seppla はTagoを$2500ドルでロスアンジェルスの動物園に売り、その3年後、Tagoは動物園で死亡している。

ハスキーは寒冷地に適応する犬なのに、暑いロスアンジェルスの檻の中で見せ物になり、

かわいそうな晩年だったなあと思う。

アラスカにいればもっと長生きしたのではないだろうか

 

3 3月4日 セレモニアル・スタート(アンカレッジ)

 

3月4日 午前10時 アンカレッジダウンタウンの4thストリートで、アンディタロッド犬橇レースのセレモニアルスタートが切られた。 

本当のレースではなく顔見世で、犬の数を減らし橇をもう一台付け、パレードする。

その橇にはマッシャーの選んだ人が同乗でき、アイディタライダーと言われている。

 

2005年のセレモニアルスタートでのDeeDee

 

84人のバイオグラフィを見てみると、アラスカ出身が多いことに気づく。

明日のリスタート地点のウイロー、フェアバンクス、が並ぶ。やっぱりアラスカのレースだ。

これまでの最高記録を持つMartin Buserも、二位になったことがあり、アイディタロッドのプリンセスと言われているDee Dee Jonrowe も、

犬橇のメッカ、ウイローの住人だ。

ジュニア アイディタロッド2位の Nicholai Buser は Martin Buser の息子で、すごくいい犬を持っていただろうから、上位に入るのが当然ともいえる。

新聞にMartin の奥さん、Nicholai  のお母さんのコメントが載っていた

「息子がこのまま本物のアイディタロッドに出ることはないと思います。

彼は大学へ行くでしょうし、犬橇をすることは、本当に、too much work!です。」

はは、犬の訓練に明け暮れてきた奥さんは、息子には違う道を歩んで欲しいのではないかと思った。

母親としてその気持ちはよくわかるなあ。彼女の夫は犬橇に魅せられたが最後、何もかも投げ打ってやってきたのだろう。

 

2005年のRachael Scdoris 

去年わずか20歳で初参加だった Rachael Scdoris は強度の色弱で盲目と認定されている。

オレゴン在住、アイディタロッドへの参加は積年の夢だったという。(そういってもとても若いのだが) 

彼女ほとんど見えないので、後ろから通訳がついたのだが、通訳に何もかもおんぶにだっこだったと聞いた。

即座の判断を任せているのだったら、その通訳が走ったことになるのではないかと思う。

去年セレモニアルスタートを見に行ったとき、ちょうど Rachael Scdoris のパレードにあたった。

わたしのいたところは90度のカーブになっていたのだけれど、そこで彼女は橇ごと横転してしまった。

見えなかったから、体重を外側にかけられなかったのだ。観衆は一斉に息をのんだが、彼女はゆっくりと起き上がりひとりで橇を戻した。

わたしは彼女にがんばって欲しいと思ったけど、それを見て、無理じゃないかと思ってしまった。

結局去年の彼女は完走できず、犬が怪我して不調という理由で棄権した。

友達の話によると、誰とも口をきけないくらいパニックになっていたという。

今年はどうなるのか衆目を集めている。DeeDeeは 乳がんを克服しての参加。

話題のマッシャーを書き出したらきりがないけど、最年長は58歳と56歳の女性だ。すご〜

明日は本当のレースのスタート!!

 

4 3月5日 Willow Restart !

 

3・2・1・0・スタート!!

 

わずか1700人足らずが住むウィローに、アイディタロッドのスタートということで、15000人が集まった。

隣町からシャトルバスが出て、ハンバーガーなどの出店も並ぶ。

アイディタロッドグッズを売る店もあり、セスナの飛行場を駐車場に解放している。

柵沿いにカメラを構えた観客が並んでいたが、わたしは背が低いので(アメリカ人の中ではなおさらだ)、するすると一番前に入れてくれた。

犬の数が多いなあ。16頭かな?やっぱり長距離だから、パワーがいるのだろう。途中で怪我する犬も出るのかもしれない。

犬を押さえるヘルパーまで揃いのジャケットを着ているチームは、きっと大きなスポンサーついているのだろう。

二分ごとに籤で引いた順番でスタートして行くのだが、その合間にマッシャーのバイオグラフィのアナウンスが入る。

なかなかユーモアがあって笑ってしまう。

「アラスカに20年在住で、仕事は大工、趣味は釣りと狩り、それから女の子。。」

長いレースのスタートなので、マッシャーたちは緊張しているのかと思ったらそうでもなく、

冗談を言ったり観衆に手を振ったりと結構余裕を見せている。

スタートすると声援が飛ぶので、スターになったような気分で気持ちいいのだろうな。きっと。

「次はジェフ キング」

有名なマッシャーの名前が呼ばれると、おお〜と観衆にどよめきが起こった。

これまでに二回優勝していて、今回も優勝候補だし、チーム全員の青いジャケットが目を引く。

アイディタロッドのプリンセスと言われている、DeeDeeのスタートを見たかったのだが、時間がなく見逃してしまった。

彼女はこれまでに22回参加していて、(すご〜 いくつなんだろ?)そのうち2位と8回トップテンに入っている。

美人でおしゃれで知的で、マスコミとの受け答えもてきぱきとしていた。

二年前に乳がんが見つかり、そのキモセラピーから40日目にアイディタロッドに出場したことで話題を呼んだ。

去年のセレモ二アルスタートで見たけど、垢抜けしてかっこよく、

パレードの彼女の橇に乗るアイディタライダーの席は、$7500で競り落とされたそうだ。

 

お母さんと一緒に観戦中・・・

 

一日目の初めてのチェックポイント、Yentna,に入ってきたのは、去年の優勝者、モンタナ州のDoug Swingley だ。

その後に18人が次々と入る。雪のコンディションは良く、どのマッシャーも調子がいいということだ。 

チェックポイントを出た後、40マイルを走り真夜中までに Skwentna and Yentna rivers に着くことが予想されている。

チェックポイントではマッシャーと犬の健康状態をチェックされ、また所持品のチェックもされる。

もしも失くしたものがあったなら、その場で失格になるか、またはももと来た道へ探しに行かなければならない。

今年のアイディタロッドは上位30人が$795,000 を分けることになっている。すごーい。

 

5 3月6日 チェックポイント Rainy Pass

 

アンカレッジのRobert Bundtzen が チェックポイントのRainy Passへ向かっているところ、出発してから20時間くらい。ADN

 

1790キロのアイディタロッド犬橇レースには、22ヶ所のチェックポイントある。

初めから三つ目のチェックポイントFinger LakeからRainy Pass は標高差が1000mくらいあり、

そこを一気に登るなければならない難所だ。

アラスカ山脈を峠越えするので、アラスカのマッシャーよりも、山の多いモンタナのマッシャーのほうが得意らしい。

アンディタロッドは長距離レースなので、スピードよりもスタミナがものをいう。

初めの二日にスピードを出しすぎると、後半スタミナの続かない犬がでてくるので、

犬たちのスタミナを小出しにして完走させるのが、マッシャーの技量ということになる。

それぞれのマッシャーによってペースは違うのだが、

4時間走って、4時間休む、または5時間走って5時間休むという間隔がとられる。

休んでいるとき犬は休めるのだが、マッシャーは犬の様子をみたり世話をするので、一時間くらい仮眠をとるだけらしい。 

また、ロッジなどで休憩できるときもあるが、犬と一緒に寝たり、橇の上で寝たりとなかなかハードだ。

マッシャーたちの食べ物は、本人が前もって料理し、真空パックしたものをお湯に入れて溶かすだけだ。

普段食べているような、スパゲッティとかステーキとかデザートまで、なかなかご馳走を用意している。

確かに美味しいものを食べないと体力が持たないし、それが息抜きになるのだろう。

食べ物は犬の餌、敷き藁と共に各チェックポイントに空輸される。

アラスカ州コツビュー出身のEd Iten が料理中、スチームバス?(笑) ADN

6 3月7日 チェックポイント ニコライ村( あと1231キロ)

 

現在二位のジェフキングが、Nicholaiで犬を休めているところ。ADN

三日目になって、三つのグループに分かれたみたいだ。

先頭グループ19人には、優勝候補の有名なマッシャーの名前が並ぶ。

Doug Swingley, Jeff King , Mitch Seavey, Ed iten.・・・

DeeDee も後続のグループから上がってきて、先頭グループに入った。

大きな難所だったRainyPassは越えたものの、125人が住むエスキモー村Nicholaiに入る手前にも、難所がある。

風が強く吹きさらしで、トレイルの印が消えてしまうからだ。

ここに入って、犬橇のスピードが時速5キロくらいに落ちている。

出発したときは時速8キロくらいだから、マッシャーたちの慎重さがはかられる。

気温は下がってきていて、昨日はマイナス8度だったのに比べ、今日はマイナス20度より下がっている。

でもこの気温がハスキーには最適の条件で、走りやすいと聞いた。

Nicholaiから終点のNomeまでは 1231キロで、これまでに559キロ走ってきているから、

全体の3分の1を通過したことになる。ここには、お店や宿泊所などがあり、マッシャーたちも身体を休めることが出来る。

7 3月8日 Lay over へ

              

アラスカ州のRandy Cummins がチェックポイントで奥さんと話をしているところ ADN                              おやすみ〜 ADN

 

 

Rainy Pass の難所を越えてきたら、後はスピードレースになっている。

上位20人くらいが抜きつ抜かれつだ。

1 Doug Swingley (5)

2 DeeDee Jonrowe (31)

3 Cim Smyth (72)

4 Jason Barron (29)

5 Mitch Seavey (12)

6 John Barron (9)

7 Ed Iten (14)

8 Bjornar Andersen (35)

9 Jacques Philip (75)

10 Martin Buser (58)

 

アラスカ州カシロフ出身のPaul Gebhardt はFarewell Lake,の近くで橇を木にぶつけ、そのショックで犬たちを逃がしてしまった。

後続のマッシャーにバイソン狩のキャンプまで橇に乗せてもらい、スノーモービルを借りて三時間かかって犬たちを集めたのだが、

これが問題になっている。

アイディタロッドの規則では、非常事態にマッシャーに助けを求めるのは構わないのだが、

それ以外の人に助けを求めるのは 規則違反だ。彼は失格か罰金か今審査委員会が話し合っているところだという。

でも温情的に三時間を失ったことが罰金の代わりだという味方が強い。

 

 

8 3月9日 マクグラス村

 

アイディタロッドの規則のひとつに8時間と24時間の Lay over (休息)がある。

これはどうしてもとらなければならないもので、犬とマッシャーの健康管理のためだ。

8時間の休憩はユーコンリバーで、もうひとつの8時間 Lay over は最後のチェックポイント、ノームまでわずか80マイルのホワイトマウンテンだ。

ラストスパートにかけて、犬とマッシャーの体制を整え、事故を防ぐという目的があるのだろう。

一方24時間の Lay over はどこでとってもいいのだが、

例年のパターンでは、1000メートルを上り1000メートルを下るアラスカ山脈越えの後に取ることが多い。

Nocholai, McGrath, Cripple などの村でとるのだが、McGrathはとても人気がある。

もちろん、犬たちの疲労の具合によるのだが、村をあげて宿泊シャワーなどを提供するから、マッシャーたちも、居心地いいのだろうとおもう。

もしもわたしの家にアイディタロッドのマッシャーたちが来るとしたら、

がんばってパイやサラダ、温かいスープなど作るだろうし、お寿司も並べると思うな。

24時間の Lay over 間に橇を代えるマッシャーも多い。それだけ痛んでくるのだろう。

 

9 3月10日 先頭集団 Crippleへ (あと半分)

 

パイロットが落伍した8匹の犬をアンカレッジに運ぶところ ADN

先頭集団のスピードが落ちている。

夜の気温が下がり、風が強くなってきたためだ。昼間はマイナス15度くらいだが、夜にはマイナス40度に下がる。

Crippleチェックポイントを過ぎたところだが、ここで1100マイルの半分を走ったことになる。

マイナス40度って、真冬みたい・・・びっくり。現在の順位は・・

1 Paul Gebhardt (84)

2 Jeff King (30)

3 Melanie Gould (23)

4 Doug Swingley (5)

5 Aaron Burmeister (10)

6 DeeDee Jonrowe (31)

7 John Baker (56)

8 Bjornar Andersen (35)

9 Ed Iten (14) 10 Ramey Smyth (8)

 

お、有名なマッシャーばかり。24時間のLay overの後で、犬もマッシャーたちもリフレッシュしたことだろう。

マッシャーの一日の睡眠時間は1,2時間とか。休んでいるあいだも犬の世話をしたり橇の手入れをしたり。アイディタロッドって、不眠不休のレース!

後続の多くのマッシャーたちは、MacGrath村で24時間のlayover に入っている。

人口479人の小さな村に、犬の鳴声がこだましているのだろう。 

チェックポイントごとに獣医の診断が入り、また家族や友人の訪問も許されている。

二年前のアイディタロッドにジェフキングの18歳の娘が出たとき、母親はチェックポイントごとに娘を迎えたという。

いくらいい犬を持っていたとしても、18歳にはかなりきついレースだったみたいで、母親にどんなに励まされたことだろう。

でも母親の気持ちにしたら複雑だったろうと思う。疲れ果てている娘に手助けどころか触れることもできないからだ。

アイディタロッドレースにはさまざまなルールがあり、違反すると失格する。

Noah Burmeister の犬 Yellow knifeがアンカレッジの病院で死んだ。

火曜日から調子が悪いのにNoahは気づいていたが、

アラスカ山脈を登っている途中に急に倒れたので橇に積み、次のチェックポイントまで運んだ。

直ぐに獣医の診断を受けたが原因がわからず、アンカレッジの病院に運ばれたのだが、倒れてから二日で息を引き取った。

肺炎だった。

その知らせをきいたNoahは無口になって涙したという。

彼にとったらきっと自分の一部のような犬だったのだろう。精神的にきついだろうな・・

これまで6人が棄権し、レース参加者は78人になってる。

 

10 チェックポイント クリップル

ADN

Cripple はちょうどアンカレッジとノームの中間地点にあるチェックポイントだが、

ゴーストタウンなので、ここでLayover するマッシャーたちはテントを張ることになる。でも椰子の木もフラダンスもあるよ。

 

 

11 3月10日 チェックポイント ルビー 優勝候補たち

 

         

   Doug Swingley  ADN                          Jeff King    ADN

1100マイル(1750キロ)の半分を過ぎて、先頭集団の中から、優勝候補が挙がってきている。

これまで3回優勝しているジェフキングと去年の優勝者ダグスィンブレイだ。

その後を追っているのが、アイディタロッドのプリンセスと言われているディディジェロウム。

これまでレースのトップを走ってきたのは、モンタナ州出身のダグスィングレイなのだが、まだ24時間のLayoverをとっていない。

これからLayoverをとると後続のジェフキングに抜かれることは必至だ。でも16頭の犬に衰えも故障もなく、確実な走りを見せている。

ジェフキングはもう既にLayoverをとり少し遅れたものの、スピードを上げていっている。

休んだ後の犬のスピードには目覚ましいものがある。休んでいないダグのチームが13時間かかったところを、ジェフキングは8時間だった。

二人の優勝争いが明らかになってきたが、記録ではジェフキングが今のところ最高で、ダグスウィングレイは三時間遅れだ。

まだまだ縮められる距離なので二人はインタビューでもかなり意識しているようだった。

その三時間後に走っているのがディディで、これからこの三人がどうなるかがレースの見所となってきている。

 

DeeDee Jonrowe がRubyチェックポイントでファンの女の子からイヤリングを受け取っているところ。

チェックポイントでイヤリングを付け、また、ノームに着いたら付けると女の子に話している。 ADN

12 3月11日 カルタグ チェックポイント(ノームまで351マイル、565キロ)

 

11日の土曜日冷たい強風がユーコン河を吹き抜けたが、優勝争いが熾烈になってきた。

その11分後にダグ・スウィングレイ、そしてその18分後にディディ・ジェロウムが続く。

こうなれば、誰が優勝するのかまったくわからない。

長距離レースなので、速さだけが優勝を決めるのではなく、ドッグアスレートたちのスタミナをいかに引き出すかにかかっている。

速く走らせれば、休憩時間は長くなるだろうし、無理をさせてもドッグチームの覇気をそぐだけだ。

ジェフ・キングはこれまで三回優勝しており、インタビューから見るところでは無口な人だ。

「あまり多くは語らない。手の内をみせてしまうから。」となかなか慎重だ。50歳ADN

 

 

一方ダグ・スウィングレイはとても饒舌な人で、

自分のチームは速く優勝できるとはっきりと述べる。

インタビュアーに最後に「楽天家さん」と言われたのが面白かった。

きっと、緊張すればするほど饒舌になるタイプなのではないかと思う。52歳 ADN

 

ディディのインタビューは見ていないが、22回参加しいつも上位に食い込んでいるが、優勝したことがない。51歳

アイディタロッドのエリートたちは高齢化していることが問題になっているけど、トップ3を見てみて、本当にそうだなと思う。

 

ジェフ・キングがTakotna村で快適に24時間Layoverを取っているとき、

ダグ・スウィングレイはその先のCrippleで、マイナス40度にテントを張ってのLayoverだった。

これは彼の戦法みたいで、前回優勝したときの勝因だと言われている。

Layoverに選ぶ場所を見るだけでも、この二人の性格の違いが明らかだ。

スノーマシンを使って犬を集めたマッシャーへのペナルティはないということが決まった。よかったね〜

犬がもう一頭死んだ。原因は不明で検死待ちだ。

 

 

スーザン・ブッチャーは女性で初めてアイディタロッドに優勝したマッシャーだ。

それも1986年、1987年、1988年、1990年と四回。

1978年から1994年まで参加し、初回を除いてすべてのレースにトップ10入りという功績を残している。天才的だ。

その後引退したのだが、去年白血病が見つかり今はオレゴンの病院で治療中だ。

今はキモセラピーの最中だが、アイディタロッドマッシャーを迎えるためにチェックポイントを訪れている。

彼女に迎えられるマッシャーたちは、さぞかし励まされることだろう。

スーザンがんばれ、マッシャーがんばれ、とわたしまでじわーんとなってくる。

 

13 強風のベーリング海沿いをゆく

 

アイディタロッドのコースはずっと内陸を通ってきたのだが、Unalakleetチェックポイントからベーリング海沿いの道をとることになる。

今年のレースは気温が下がりマイナス40度の日が続いたが、このUnalakleet村にいたっては、強風が加わった。

マッシャーたちのインタビューでは、夜は寒くて眠れないし、強風の氷の上を犬が走るのは無理あるので、スピードがぐっと落ちているということだ。

 

DeeDeeが時速40マイルの強風の中を進んでいる ADN

トップを走っているジェフ・キングの犬は13頭になっているが、悪条件のなかでも安定した走りをみせているので、

このまま逃げ切るかとの予想が立っている。

一方、20分遅れのダグ・スウィングレイだが、三歳のBuckが氷の上を走るのに困難を見せチームからはずし、13頭になった。

また、彼は村へ入る道を失いその分タイムを失っている。

チェックポイントでの獣医に、「どうして犬たちをゆっくり眠らせないないんだ!検査は済んでいる」と怒鳴り、失態を見せた。

精神的にも肉体的にもかなり応えているようだ。

DeeDeeのインタビューでスーザンブッチャーのことを聞かれたとき ”She is gorgeous !! Ablolutely gorgeous ! "と言っていたのが印象的だった。

DeeDeeも乳がんを克服してのレース参加だし、スーザンとは積年の友情がある。

 

これまでに11人が棄権している。

 

14 ジェフ・キング!!9日11時間11分でアイディタロッド犬橇レースを完走

 

ノーム入りした優勝者!! ヒューヒュー〜ADN

 

アラスカ時間の3月15日未明、ジェフ・キングと12頭の犬がノームのアイディタロッド終着点に入った。

記録の9日11時間11分は、内陸でのマイナス50度、ベーリング海沿いでの時速60キロにも及ぶ強風を考慮すれば、驚くような速さだ。

また、彼は2月に50歳になったばかりで、最高年齢者としてアイディタロッドを優勝したことになる。

彼はインタビューで、まず家族とドッグハンドラー(飼育や訓練をする人たち)に感謝した。

アンカレッジを出たときから魔法のじゅうたんに乗っているようで、これまでで最高のドッグチームに恵まれたと言う。

 

そして、少し涙しながら、リードドッグのSalemを讃えた。

Katlagを過ぎ、強風のなか氷の上を走っている時、先頭に二頭いることに気づいた。

視界も悪いのでどの犬なのかよく見えない。(リードドッグは一頭のはずだ)。

暫く走るとハーネスの外れた犬がいることがわかり、その犬を橇に積むために止まらなければならない。

そして、犬たちは強風でかなりナーバスになっている。

ジェフが橇を止めハーネスの外れた犬に近づいた時、ジェフ・キングを氷の上に残したまま、12頭は走り去ってしまったのだ。

犬たちは風の音に恐怖を感じているので、コントロールきかなくなっている。

Whoo!(止まれ!) Whoo〜

そう言っても12頭の犬と橇は止まらず、霧の中へ消えていってしまった。

もう一貫の終わりだとジェフは最悪のシナリオすら考え、そうならなくても、

犬と橇を集めている間に、後続のダグ・スイングレイに抜かれることは必至だ。

「Salem ! ! 止まれ〜」

ジェフはとリードドッグの名前を叫んでいた。

橇はもう見えないので、満月に近い月に向かって、一面の霧に向かって、力いっぱい叫んでいた。

そして犬たちの走り去った方向へ歩いてみると、犬たちと橇はちゃんと彼を待っている。

リードドッグのSalem がドッグチームを止めたのだ。

ジェフを好きで好きでたまらない犬らしく、また、リードドッグとしてチーム全体をまとめる技量にも長けている。

「このみにくい灰色の犬は、すばらしいアスレートで、リードドッグで、ペットで、それ以上のもの、そう、友達だ。」

 

ヴィクトリ〜〜〜〜 ADN

ジェフ・キングの後ろを走っていたダグ・スウィングレーは、最後のチェックポイントホワイトマウンテンで、犬たちをたっぷり休めることに決めた。

10頭の犬の疲労ははなはだしく、またスピードもかなり落ちていていたからだ。

この時点で、ジェフ・キングの優勝は決まったことになった。

おめでとう。ジェフ・キング、セーラム、犬たち、ジェフを支えてきた奥さん、3人の娘たち、そしてたくさんのドッグハンドラーたち。

 

アラスカのとてつもなく厳しい自然に、感謝。

アラスカの春がはじまっている。

 

AND

 

アンカレッジデイリーニュースの許可を得て、写真を使わせていただいています。

ADNと書いてあるのは新聞の写真です。